着物を通して素敵に年を重ねていくお手伝い – 青山 ゑり華

着物を通して素敵に年を重ねていくお手伝い – 青山 ゑり華

第7回 爪掻本綴れ織 川端和香 作品展 [彩糸彩遊]2023/10/01

彩 糸 彩 遊

10月20日(金)~10月22日(日)
営業時間 10:30~19:00
場所 青山 ゑり華
期間中 川端先生ご来場
※川端さんの綴れが見られるのはゑり華だけです。

ごあいさつ
五年ぶりに綴作家、川端和香作品展を開催いたします。
綴織の歴史は古く、古代エジプト・古代中国・南米のプレインカなど古代文明の遺跡から発見されています。
織人は、長く伸ばした指の爪先にヤスリをあて、のこぎりの歯のように刻んで、緯糸を入れる度にその指先で緯糸を掻きよせ、文様を表現します。
これが「爪掻(かき)本綴織」の名称のある所以です。

綴織は経糸の下に図案(下絵)を置き、透して見ながら彩糸である緯糸を織っていくという方法で文様を描いていきます。
柄の濃淡も、一本の彩糸の撚り目を戻して半分に割り、混ぜたい彩糸の半分同士をまた撚り合わせて作った杢糸(モクイト)で織り込んでぼかしていく技法を駆使します。
本綴織は糸で描く絵画とも言え、気の遠くなるような手間暇を掛けて作られているのです。

川端先生と綴れ織との出会いは偶然でした。
お知り合いの奥様が機織りをなさっているのを見て織に興味を持ち、たまたま織の講座があると聞いて参加したところ、それが綴れ織の講座でした。
綴れ織の図案は、著名な日本画家の絵を原画として使用していたそうです。
その美しい原画とほぼ同じ色柄に織れる綴れ織に感動し、3年間無給で伝統工芸士のもとに通って技術を習得されました。

現在綴れはメーカーの人が図案屋さんや日本画家から原画を買いその図案を下絵に直して職人に渡し織らせます。
その際込み入ったものはなるべく簡単に、色数も可能な限り少なくします。
綴れ織はすべて手作業で織られますので。柄が複雑になる程、色数が多い程手間が掛かり、手間が掛かればそれだけ高価になってしまいます。
あまりにも高価な綴れは、現在ではあまり売れていないので、手間を掛けられない状況にあります。

一方川端先生はご自身で図案を描きそれをご自分で織るので、ご自身が納得できるまで手間を掛けることが出来ます。
売り先もメーカーや問屋ではなく、ゑり華に直接作品を卸してくださるため、一般常識では考えられないお値打ちでご提供が可能となっております。
今回の個展が川端先生は最後と仰っています。
いままでご縁を頂いていた方も初めての方も、是非この機会に本物の綴れを手にとってご覧ください。

青山ゑり華 代表花岡隆三

川端先生からのごあいさつ

織物に出会いましたのは、関西に嫁いで間もないころでした。
友人の奥様(染織家)を通して西陣に足を運び、そこで綴れ織に出会うことが出来ました。
石川綴れにおいて小山喜一朗氏の指導を仰ぐことになり、四十余年のときを過ごしてきました。
さて綴れ織りについて説明します。綴れ織りは他の織りとは少し異なります。

絵の具を用いてキャンパスに絵を描くように、色糸を心のままに縒(より)をかけて織り描くことが出来ます。
美妙な彩りやぼかしは他の織りでは味わうことが出来ないというのも綴れ織りの魅力でしょう。
京都では「むっくり」「ほっこり」「はんなり」という言葉が使われますが、この表現がよりに合うのも綴れ織りではないかと感じています。
このような思いを込めて、日々、織り進み楽しんでいます。
ゑり華さんのご好意により、今回、皆様に作品を見ていただけることになり、感謝申し上げます。
皆様に会場でお会いできますことを楽しみにしています。

結婚式などのフォーマルから、お茶席などのセミフォーマルの場面まで、幅広くお締め頂けるのが爪掻き本綴れです。

綴れ織の起源はエジプトと言われています。
紀元前15世紀の王墓からつづれ織の衣類などが見つかっているそうです。
東洋にはシルクロードから伝わりました。
その頃には、毛糸から絹糸へと変わり、技術も発展して東洋独自のつづれ織が完成していきました。
日本への伝来は飛鳥時代だと言われ、遣隋使や遣唐使が持ち帰ったものと考えられています。

綴れ織は横糸だけで文様を表現します。
経糸を強く張り横糸をたっぷりと入れて縦糸が見えないように織ります。
なかでも爪掻本綴れ織は、爪をギザギザにカットして横糸を爪で織りこんでいく技法です。
高度な技術が必要とされ、縦糸の上に横糸で絵を書くように仕上げるので、立体的な作品を作ることが可能です。
一本織るのに大変な時間と労力が必要なものです。しかし、逆に言えば時間と労力を惜しまなければ、複雑な柄が織ることが出来ますし、織る人のセンスがはっきりと出るのも綴れ織の特徴です。

川端先生の綴帯は何処が違うの?

川端先生は、図案から織まで、ほとんどの工程をご自身で行います。
「好きなようにさせてもらっています。人にあれこれ言われて制限されるのが嫌いなんです」
そう言う川端先生は問屋さんの仕事をしません。
問屋さんの仕事は商品作り。
なるべく織りやすい柄で、なるべく色数を抑えて、なるべくボカシを省いた物を要求されます。
(それでも凄い価格になります)
川端先生の帯は、ゑり華にしか納めません。
ですからコストを全く考えないで、自分が納得できる物だけを作ることが出来ます。
是非見て欲しいのは、織の細かさとボカシの美しさ。
これだけの綺麗な綴れ織を信じられない値打ちでお届け出来るのは、着物屋冥利に尽きます。
手間が掛かり過ぎる為海外製品の多い中、日本人の感性で思いを込めて綴られた素敵な織物に出会えたとき、素直に心が揺さぶられます。
私が百の言葉で語るよりも下の写真をご覧ください。
友禅のように絵の具で濃淡を出せない織物を、こんなにも美しくぼかす事が出来るなんて・・・。
今手元に届いた川端先生の帯を見つめて、改めてこの出会いに感謝しています。

青山 ゑり華 店主花岡 隆三

彩 糸 彩 遊

10月20日(金)~10月22日(日)
営業時間 10:30~19:00
場所 青山 ゑり華
期間中 川端先生ご来場